野球肘(上腕三頭筋炎)
- 肘を伸ばすと痛い
- ボールを投げると痛む
- 肘の後ろが腫れている
- 力が入らない感じがする
- 長時間の投球がつらい
野球肘(上腕三頭筋炎)について|上尾市-さいたま市北区土呂/宮原すぎやま鍼灸整骨院
解剖学的背景
野球肘(上腕三頭筋炎)にかかわるものとしては、主には上腕三頭筋となります(そのまま!)なのでまず、上腕三頭筋について軽くお話していきます。
上腕三頭筋(Triceps Brachii)
上腕三頭筋は、上腕の後面に位置する大きな筋肉で、長頭、外側頭、内側頭の三つの部分から構成されています。この筋肉は肘関節を伸展させる主な役割を持ち、肩関節の伸展や内転にも関与します。
起始と停止
- 長頭:肩甲骨の関節下結節から起始し、肘関節を越えて上腕骨の後面に付着します。
- 外側頭:上腕骨の上部外側から起始し、肘関節を越えて上腕骨の後面に付着します。
- 内側頭:上腕骨の下部内側から起始し、肘関節を越えて上腕骨の後面に付着します。
野球へのかかわり
上腕三頭筋は投球で言うとアクセレレーション~ボールリリース期に一番作用する筋肉です。
バッティング時でいうと振りの最後のあたりが一番上腕三頭筋に負担がかかります。
ですので、野球肘になるのはピッチャーだけではなくバッターにも起こることだとイメージしてもらえたらと思います。
野球肘(上腕三頭筋炎)の原因|上尾市-さいたま市北区土呂/宮原すぎやま鍼灸整骨院
次は野球肘(上腕三頭筋炎)のおもな原因についてお話していきます。
1. 過度な使用と反復的なストレス
野球の投球動作は、肘を伸展(伸ばす)させる際に上腕三頭筋に大きな負荷をかけます。特に投球回数が多い場合、上腕三頭筋に反復的なストレスがかかり、筋肉が過度に疲労します。そして、繰り返し行われる投球やその他のスポーツ動作が、上腕三頭筋に更に継続的なストレスを与え、筋肉や腱の炎症を引き起こします。
2. 投球フォームの問題
ピッチングは正しい投球フォームを身につけていないと、肘や上腕に過度な負荷がかかります。特に小中学生はフォームが固まっていないことが多いので、不適切なフォームになりがちです。そのまま投げ続けると、上腕三頭筋に過剰なストレスがかかり、炎症を引き起こします。
3. 筋力と柔軟性の不足
上腕三頭筋や関連する筋肉群の筋力が不足していると、投球時に筋肉が過度に引き伸ばされ、損傷を受けやすくなります。加えて筋肉や腱の柔軟性が不足していると、急激な伸展や収縮に対して適応しきれず、筋肉が損傷しやすくなります。
4. 急激な負荷の増加
急に投球数やトレーニング量を増やすと、上腕三頭筋が負荷に適応できずに筋肉に負担がかかってしまいます。筋力が未熟であったり。柔軟性が不足している場合だとが損傷しやすくなります。
5. 練習や試合での過負荷
練習や試合が続くシーズン中に、休息を取らずに投げ続けることで、上腕三頭筋に過度な負荷がかかります。人数が少ないクラブや部活に起こりやすい状況です。このような状況が続けば当然肘の炎症は起こります。
野球肘(上腕三頭筋炎)の症状|上尾市-さいたま市北区土呂/宮原すぎやま鍼灸整骨院
野球肘(上腕三頭筋炎)は、上腕三頭筋に炎症が起こることで、さまざまな症状を引き起こします。野球肘の主な症状を詳しく説明します。
1. 痛み
投球時の痛み
アクセレレーション~ボールリリース期の投球動作や肘を伸ばす際に、肘の後方に鋭い痛みが生じます。特に力強く投げると、上腕三頭筋に痛みを強く感じます。痛みが強い場合は基本投球はさせないようにしましょう。
安静時の痛み
損傷を繰り返して症状が進行すると、安静時や日常動作中にも痛みが感じられることがあります。肘を動かさなくても痛みが続く場合もあります。その状態は非常に良くない状態だと認識してください。
2. 圧痛
肘の後方を押すと強い圧痛があります。特に上腕三頭筋の腱付着部に触れると痛みが増します。こういう時に痛い部位を押さないように注意してください。初期は炎症が強い状態なのでアイシングも有効です。
3. 腫れと炎症
損傷部位に腫れが生じ、肘関節全体が腫れているように見えることがあります。腫れは炎症反応の一環として現れます。炎症が起こっている部位に触れると、熱感を感じることがあります。腫れは炎症が強い状態なのでアイシングが有効です。
4. 可動域の制限
痛みと腫れによって、肘関節の動く幅が制限されることがあります。特に肘を完全に伸ばしたり曲げたりすることが難しくなります。この状態を放置してしまうと炎症や痛みが落ち着いた後も関節が固まってしまい、完全な状態で動かなくなってしまいます。
5. 筋力低下
痛みや炎症のために、筋力発揮がしづらくなります。それによって上腕三頭筋の筋力が低下し、腕に力が入りにくくなります。これにより、投球動作やバッティング時は勿論のこと、日常動作が困難になることがあります。時期を見極めて筋力回復トレーニングも行う必要があります。