膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷)
- 膝が内側に痛む
- 歩くと膝がぐらつく
- 階段の上り下りが辛い
- 膝を曲げると痛い
- 運動すると膝が不安定
膝内側側副靭帯(MCL)の構造と役割について|上尾市-久喜市-さいたま市北区土呂/宮原すぎやま鍼灸整骨院
膝内側側副靭帯(MCL:Medial Collateral Ligament)は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぐ強靭な靭帯で、膝関節の内側に位置しています。
MCLの主な役割は、膝関節に外側からの力(外反ストレス)が加わったときに、それに対抗して膝が内側に崩れるのを防ぐことです。
特に、膝が内側に折れそうになる動きや、横からの衝撃に対して重要な安定装置として機能しています。
膝内側側副靭帯(MCL)について少し詳しい話
構造的には、MCLは浅層と深層の2つの部分から成り立っており、浅層は大腿骨の内側上顆から脛骨の内側面にかけて広がり、深層は関節包や内側半月板とも密接に連結しています。
このため、MCLの損傷は単独損傷だけでなく、内側半月板損傷や前十字靭帯(ACL)損傷と合併するケースもあります。
また、MCLは比較的血流が豊富な靭帯の一つであるため、他の靭帯に比べて自然治癒能力が高く、適切な保存療法により良好な回復が期待できます。
しかし、靭帯が緩んだまま治癒してしまうと、膝関節の不安定性が残り、将来的な再損傷や軟骨の摩耗、変形性膝関節症のリスクを高めるため、正確な診断と段階的なリハビリが重要となります。
膝内側側副靭帯損傷の主な症状
膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷)の症状は、損傷の程度(グレード)によって異なります。靭帯がどれほど伸ばされたか、あるいは断裂しているかにより、臨床的な対応も変わります。
- Grade 1(軽度):靭帯が過伸展している状態で、微細な損傷。膝の内側に圧痛があるが、関節の不安定感は少なく、日常生活にはほとんど支障がない。腫れはほとんど見られません。
- Grade 2(中等度):靭帯の部分断裂。圧痛と腫れが明確に現れ、膝の内側に不安定感を覚える。歩行や階段昇降での違和感が強く、関節の可動域も制限されるケースが多い。
- Grade 3(重度):靭帯の完全断裂。膝関節が大きく不安定になり、自力歩行が困難になることも。しばしば他の靭帯損傷や半月板損傷を伴う。
損傷が進行すると、動作のたびに膝の内側に「ズキッ」とした痛みが走ることがあります。また、膝が“抜ける”ような感覚や、踏ん張りがきかないといった不安定性が顕著になります。
階段の昇り降りや正座・しゃがみ込みといった動作が難しくなるだけでなく、腫脹が強い場合は膝の輪郭が見えないほど腫れることもあります。重度では内出血による皮下出血(アザ)が内側から下腿部に広がるケースもあります。
このような症状を放置すると、靭帯の緩みが慢性化し、将来的に変形性膝関節症を引き起こす原因となります。また、関節を守るために無意識にかばった歩き方が癖になり、股関節や腰、反対側の膝への負担が増えることも少なくありません。
早期の正確な評価と、段階的な施術・リハビリが極めて重要です。